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UXについて(UXとは?)

UX ≠ 得な体験

UXという概念の解釈は千差万別。決まった定義はない。
また、UXの設定を誤ると、ユーザーは良い体験を期待しなくなる。


(1)UXとは、ユーザーの期待に応えるもの?

購入予定のクルマがある。その現物を見て、「あなたは何を感じますか?」と質問すると、その答えは、一人ひとり異なる回答があるはずです。 
そんなお客様に対して、良い体験を提供できるでしょうか?

とても無理な話だと思います。一人ひとりのお客様には、それぞれの知識と経験があり、バイアスがかかっています。
これらのお客様全員に「良い体験」をして頂く(提供する)には、一人ひとりのお客様の人生をリサーチし、車種のコンセプトを個々のお客様のニーズに合わせる必要があります。

(2)店舗に足を運んでいただいた「動機」を知る?

お客様が「なぜ、お店に来たのか?」という疑問の答えを知れば、自ずとして、体験して頂く内容がわかります。
この内容をお客様に提供することで、良い体験をして頂き、より深くプロダクトを知りたいという欲求が生まれると思います。
ただし、このお客様の気持ちに応えるだけの「体験」を、事前に用意しておく事は、現実的ではないでしょう。

(3)インセンティブを与えると...。

マグカップやクッション、キーホルダーなどで、その車種の印象を「持って帰ってもらう」ことは、マーケティング視点でみれば、一つの手法であるはずです。これもUXの一つと言えるでしょう。

UX視点から見れば、一つの体験として捉える事は出来ると思います。ただし、購入に到るまでの貢献度としては、ほんの数パーセントしかありえません
インセンティブに、「カーナビ無料」「いまなら10万円引き」といった太っ腹なものもありますが、今は良い良い体験(印象)を与えるが、後々、「なぜ、今回の買い替えには、値引きしてくれないのか?」という悪い体験へとかわってしまうことでしょう。
ユーザー体験というのは、「常に、先を見越して設定するもの」であります。

私が実務から得た、UXの要点。

上記の8つ以外にも、項目はあるはずだが、まず、クルマを企画段階で、このファースト・インプレッションの体験を、プロダクトに反映させることを関係者全員で共有し、UXデザイナーは、その後のすべての工程で、ブレていないかをチェックすること。

私が考えるUXとは、
要望や期待に対して、受動的に答えを出すのではなく、能動的に答えに導く「物語」を構築し提供する事。

業界問わず、売上ノルマを課せられると、「お客様の要望に応える(叶える)」ことに注力します。
結果、値引きをすることになり、生産コスト、研究開発費の削減などで穴埋めをし、根本的な「良い体験をしてもらう(良いクルマをつくる)」という点か抜け落ちてしまいます。
そうならない為にも、お客様を満足させる体験は、こちらから提供し、その商品を納得して頂く、そんな姿勢が必要だと思います。

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