2017年東京モーターショーに行って思った。
電動化、自動運転が主流になりつつ、日々、メディアで紹介されている。
別に、否定はしないけど、自動車ファンの一人としては、「運転する楽しみ」がなくなってしまうのは寂しいものだ。
東京モーターショーを見て、自動運転や安全などの技術に関しては、とても興味が持てた。
数年前であれば、夢にも思わなかったことが、実用化まであと少し。法的な問題はあるが、きっと、自動車は運転する必要がなくなるであろう。
運転の必要がないものを自動車と呼んで良いのか?、ふと思った。“自動”と“車”を合わせて自動車と呼んでいるので、自動車と呼ぶには違和感ないかもしれない。
しかし、“クルマ”と呼んで良いのだろうか?
昭和世代の人間にとって、パワステ、オートマ、バックカメラ、スマートキーなど、お腹いっぱいな進歩を見てきた。カーナビもそのうちの1つ。
どんなプロダクトでも、初めて世に送り出すには、「説明」が必要。自動車のような、人命に関わるプロダクトであれば、なおさらだ。
自動運転が当たり前になる時は、もうすぐだ。
気になるのは、今、自分の持っている運転免許、これは、そのまま有効なのか??また教習所に行くのか?、それとも教習所という施設がなくなり、交通機動隊も、
信号もなくなるのか?、と疑問はいくらでも湧いている。
今回の東京モーターショーは、「安全」「安心」を軸に、「IoT」「コネクティッド」「モビリティ」という言葉が多くあった。いくらスマホが主流になったからといって、
そこにクルマメーカーが頼るのも、寂しい限り。数年後には、「自動車IT業界」なんて呼ばれるのかもしれない。
上の2枚の写真は、クルマの構造を説明するための展示、もう一つは、クルマをただ置いただけの展示写真。
日本メーカーと外国メーカーの写真だ。...気づいた点がある。
デザイン面でも、説明しているメーカーと魅せているメーカーがあることに。
デザインに関して、率直に言ってしまえば、日本メーカーは横面(クルマの側面)が悪い。好きな人も多いことだろうが、私はそう思う。
カーデザイナーではないので、細かい技術的なことは分からないが、側面からクルマを見た時、「線が多すぎる」。クルマの前方からトランクにかけて、曲線、直線が多すぎて、
なんだかオモチャみたいなチープに感じてしまってしようがない。“禅”の心得のある日本人が作った、世界向けのクルマとは、受け入れがたいのではないかと。
逆に、外国メーカーは、“無”を感じる。そこにはただ鉄の塊があるだけ。パッと見てそう思った。
さらに面白いのは、同じ電動化技術を展示しているにも関わらず、日本メーカーは、見ただけでは分からない。「サスペンションを説明するための展示?」なんて勘違いしてしまう。
逆に、もう一枚の外国メーカーの展示を見ると、いかにも「電気で走りそう」な感じが見るだけで伝わってくる。
結局、クルマ作り云々ではなく、展示の仕方にも「見せるもの」と「魅せるもの」があり、それもメーカーの心の表現なんだと思った。ちなみに、写真の国産メーカーの車両は触れることができる。逆に外国メーカーの車体には、指一本触れられない。
昨今、「デザイン論」だとか「デザイン思考」とか「ユーザー体験」というワードが当たり前のように使われているが、デザインというのは、作り手の気持ちが見る側に伝わればいいのだ。人間工学やら認知工学とか、理詰めで出来るものじゃない。そういう視点からデザインを作ることは、人間本来が持つ学習能力、適応能力を退化させるだけ。デザインでも資料作りでも、ハートが伝わらなくは魅力はない。理詰めのプレゼンなんて、説得力はあるけど、納得はできないと思う。
プレゼン資料とか、企画、マーケット分析とかは、社内でいくらでもやってもらって構わないけど、エンドユーザーである我々には、その作り手の気持ちが伝わらない限り、魅力もない。
だから、燃費性能や価格でクルマの購入を検討している。
日本は、欧州や北米にない「禅」の心があるはず。日本メーカーが嫌いではないが、根本的な部分に、作り手の気持ちがなければ、いくら性能の良いクルマを作っても、歴史には残らない。つまり、人の心にも残らない。
私自身、あまり多くのクルマ歴はないが、運転した時の言葉にならない感触を思い出す車種と、そうでない車種がある。そうでない車種は、色くらい。あとは馬力があったかどうかくらいしか思えていない。
今回のモーターショーで、クルマはクドクド説明せず、魅せる工業品だと、つくづく思った。
「見てください。このクルマを」と、一言でコンセプトが分かるクルマをもっと見たかった。(トラックとか、バスは除く)
おそらく実現しないだろうが、見ただけで、説明なしで、どんなクルマなのかが分かるレベルに、国内メーカーも意識してほしい。
不可能ではないと思う。スティーブ・ジョブズ氏が、iPhoneを発表したように。どちらも同じ工業品だ。